「そのリンゴは赤いのか?」を書いたら、思いのほか、いろいろな方から色々なご意見をいただきました。ありがたくも、「続きがたのしみ」というご期待のコメントが多かったので、何とかがんばって続きを書いてみようと思います。けど、あくまで「あーでもないこーでもない、と一人で思索にふけったあげくのたわ言」ですから・・・あんまり期待しないでくださいね。
「赤さ」ってなんだ?・・・というより「赤」ってなんだ?・・・そんな疑問を持ちながら、出席日数をクリアするためだけに出た大学の講義で、ある興味深い話を聞きました・・・今回はそのお話。
「虹の色は何色か?」(何種類の色があるか?)
以下、私が「思ったこと」と、講義で教授が「しゃべったこと」
私 :「そりゃ7色だろ?」
教授:「みなさん、7色だと思いましたよね?」
私 :「・・・その先、何を言いたいんだ?・・・フワァァ~ァっと、眠いのぉ・・・」
教授:「けど、それは日本人だからですね。世界中調べると、虹の色は7色じゃないことがわかるんです。」
私 :「・・??なんだって?」
教授:「ある民族は虹の色を3色としか認識できないし、またある民族は12色だと言うんです。有名なところではアメリカでは日常的に虹の色は6色ですしね」
私 :「オイオイ・・・そりゃアフリカとか南米とか、そういうぜんぜん違う地域の話だろ?7色を細かく分けりゃ、そりゃ12色にもなるし、ムチャクチャおおざっぱにまとめれば3色にだってなるぜ・・・それが哲学と何の関係があるんじゃ?」
教授:「今、哲学と虹の色と、何の関係が・・・?と思った人、いるでしょ?」
私 :「ドキッッ!」
教授:「でも、よく考えてみてくださいね。虹の色を3色だといっている人は、7つの色に見えるものを、まとめて3つにしてるわけじゃあないんですよ。本当に3つの色にしか見えないんです。」
私 :「・・・」
教授:「12色だといっている民族も、7つの色を、細かく分けてムリヤリ12色だといってるんじゃないんです。彼らには本当に12種類の色に見えるんです。」
その教授いわく
虹の色を3色としか認識できない民族が色弱の民族かというとそうではないのだそうです。気候風土や文化・歴史などの影響で、鮮やかな赤・青・黄色のような色を細かく識別する必要がまったくない民族だから虹の色を見ても3色にしか見えないのだそうです。けれども、この民族、逆に土や泥、岩の色については、日本人の知っている色の名前では表現しきれないほどの多くの区別をするそうです。(たぶん遠い昔から、その民族が生きていくには、土の色や泥・岩の色を事細かに観察しないと危険を予測できないとか、農作業とか狩りみたいな生きていく上の大切な作業の中で必要だったとか、そういうことなんだろうと思います。)
教授:「モノの色がどんな風に見えるか?は、民族の違い、気候風土の違い、歴史の違い、もっというと自然観・世界観の違いで異なってくるともいえるんです。」
私 :「リンゴと紅葉が同じ種類の赤に見えた俺・・・違うといったA・・・」
教授:「自分の生きている世界・自然をどんな風に捉え、どんな環境で生きるかで、色ひとつとってもまったく違う認識になる。人間って不思議、と思うのと同時に、この世界がどんな風にできているか、考えることって面白い、と思いませんか?」
そんな言葉で、その時の講義は終わったと思います。
その講義の後何日も、Kissyは「虹の色の認識の違い」と「リンゴと紅葉の色の議論」で頭の中がグルグル、グルグル、いつもの数倍の回転数で回っていました。
そんな、答えのアテもない事をグルグルと考えているうちに、少し次元の違う疑問がわいてきたのです。
「色」ってなんだ?
単に唐突にそういわれると「・・・この人、なに言っちゃってんの?」と変に思われかねない。
けれども、こんな風に考えたあげくにたどり着くと、素朴だけれども、とっても不思議な疑問。
「色って何?」
こんな風に湧き出てきた疑問をそのまんま、大学の卒論にしてしまいました。それが前回の初めに書いた「色彩論」について。
今回はここまでです。
この先をもう少しまとめて、また書いてみようと思います。
ところで、学生当時、この話を同じゼミの1つ下の後輩にとうとうと話したことがあったのですが、そいつ(・・・そいつ呼ばわりしていいんです)は、この話を聞いた後私にニヤニヤしながら、こういうことを言ったのです。
後輩:「Kissy先輩、その話面白いですね。」
私 :「だろ?そう思うだろ?」
後輩:「同じ色を見て、赤いという人もいれば橙だという人もいる・・・面白い!」
私 :「そうなんだ、そうなんだよなあ!」
後輩:「それ、同じ議論でネタを変えるともっと面白いですよ。」
私 :「?」
後輩:「同じ事をしても、ある人と別の人では受け取り方が違う」」
私 :「・・・?」
後輩:「俺、「エロってなんだ?」ってタイトルで来年卒論書きますよ(笑)」
・・・っくぉんのぉ~~~!!人が真剣にしゃべってんのにぃ~~・・・
チャンチャン。
この話をした日、そいつに飲み代をぜんぶ払わせました。
追記:
哲学に詳しい方々、私べつに哲学論争したいわけじゃあありませんので、専門的なツッコミはご勘弁ください。落ちこぼれ哲学生なので・・・。