伊豆のことについて考えてみた～３～

少しばかり間が空きましたが・・・実は３回目です。
またしても、タイトルは名ばかりで、テーマは「伊豆のこと」じゃあないかもしれないんですが・・・

いきなり無理やりな導入ですが・・・
ちょっと待ってよ、伊豆ってナニ？が今回のテーマ。

Kissyは、ちょうど１５年前、こんな事を考えていました。
「日本」ってなんだろう・・・？

地図上のある境界線の中の地域のことを言うの？
それとも「日本国籍」を持っている人のことを言うの？
「日本的」な文化や風習のことを指すの？

きっかけは、当時ニュースで頻繁に使われていたある言葉。

「世界の中の日本」

日本を良くする・日本を再生する・日本を活性化する・・・バブルがはじけたあと、ようやく傷口の流血が止まったか？と言われた頃だったと思います
なんとなく「世界の中の日本」という言葉に違和感を感じて、いろいろ考えたり本を読んだりして、しまいには「コレは」と思うような相手を見つけては、議論をふっかけまくって喧々諤々やっていました。

で、どうなったかというと・・・結論は出ませんでした。

「日本」という言葉がナニを指しているのかが、よく分からなかったのです、結局。

さて、15年たって・・・同じ想いが「伊豆」という言葉に対してわいてきました。

巷では最近、猫も杓子もという感で「伊豆を良くしよう」「伊豆を活性化しよう」「伊豆はひとつだ」と言っていますね。
一時期、Kissyも、「伊豆は伊豆、ひとつにまとめちゃえばイイんじゃない？」という発想を持っていたことがありましたが・・・よく考えてみると、これほど、あいまいな発想はないんですよ、ね。
だって、「伊豆ってなに？」・・・それに対して誰も明確に答えていない。

いや、そりゃ「観光地としての伊豆」という地域がどこからどこまでか、というのは、もしかしたら線引きができるのかもしれません。

けれども、伊豆から遠く関西や東北の方へ移住して、なお故郷を思う人や、伊豆市へ仕事をしに来ていながら「伊豆には住んでいない」人や、伊豆でお米をつくっている農家の方たちや・・・生まれも育ちも伊豆ではないけれども、伊豆が大好きで大好きで仕方がないという熱い人たちが現実にいます。そういう方たちのことを考えたら、地図で線引きもできなければ、職業でも、住んでいる場所でも区分けはできない。

一方、「伊豆を良くしよう」「伊豆を活性化しよう」「伊豆をひとつに」と言っている方達の話の中には、暗黙の了解のように「観光地・伊豆というエリア」を伊豆と言っている感覚が確かに存在する。

それなのに、そういう言葉から「観光地としての伊豆」という明確な表現は、必ずと言ってよいほど、意図的に「観光」という言葉が消し去られている。「観光としての伊豆」と言い切って、逆に観光と関係のない方から「じゃあ観光業じゃない者は関係ないのか？」と言われるのを恐れるがあまり、観光という言葉をあえて外して「伊豆」とひとくくりにしてしまおうという意図がありありと見えることさえあります。

Kissy自身は、「伊豆」という言葉、「伊豆」というひとくくりの概念には、正直言って何も感慨がありません。
伊豆長岡や、修善寺、大仁、土肥、熱海、河津・・・こういう一つ一つの地名には、一つ一つ思い出があって、言葉が出るたびに思い出す風景や、思いだす匂いや、思いだす音があって、それぞれがボクにとってはかけがえのない自分の歴史ですけれども・・・「伊豆」という言葉そのものには・・・何も浮かばないです。

それは、横浜の港の見える丘公園、千葉の勝浦や九十九里の海岸、北海道の富良野、那須塩原温泉、沖縄の平和記念公園、葛飾区小岩の音楽スタジオ・・・といった具合に、全国色々な所にいろんな思い出や、それぞれの思い入れがあるけれども、「日本」としてとらえた事がないのと似ている気がします。

ボクは生まれも育ちも沼津です。大学から社会人になるまでの11年間を東京で暮らし、その後また沼津へ戻ってきてから、もう13年たちます。

今まで生きていて、ボクは沼津に生まれ育ったんだ、という事をリアルに肌で感じたのは、

沼津で学校に通っているときではありませんでした。
東京から帰ってきて暮らしている今でもありません。
沼津の歴史を勉強して感じたわけじゃありませんでした。。
沼津に住民票があるからでも全くありませんでした。
親兄弟のほとんどが沼津にゆかりがあるからでもありません。
沼津の気候が温暖だと学校で教わったからでもありません。
沼津の小中学校・高校を出たからでもありません。
沼津の人と友達になったり、仕事で付き合いができたりしたからでもありません。

僕が、「ああ、ボクは沼津に生まれ育ったんだな」と思ったのは、東京で暮らしているときでした。しかも故郷を懐かしく思ってそう感じたんじゃありません。
東京生まれ、東京育ちの友人から、「おい、沼津ってとこはスゲえぞ、どのビルの窓からも富士山が見えるんだ」と興奮して話された時でした。

「んなの当たり前だろ、沼津なんだから」
反射的にそうこころの中で思った瞬間に、今までの人生でただ一度だけ、僕は「ああ、オレは沼津という土地で生まれて育ったんだな」という事をひしひしと感じました。

そういう経験を一度だけしたことで、ボク自身今は、「沼津」という言葉に、それなりの思い入れがあります。
けれども、それは「沼津」という行政区の線引きではなく、まして沼津に住んでいるとか、沼津のことをよく知っているとか、そういうことに対してではありません。
沼津って何だっていわれたら・・・それは土地でもなければ、人でもなければ、沼津の歴史でもない・・・たぶん人それぞれに、100人いたら100通り、「ぬまづ」という言葉に対する思いがあるはずだと思うんです。
その一つ一つが、どれも素晴らしい沼津なんであって・・・

じゃあ、お前の沼津は何だんだ？って言われれば・・・それは即座に応えられる。
僕にとっての沼津は、東高に通っている頃、毎朝チャリンコをシャカシャカこぎながら、かすかに視界の隅っこに見えていた、黒瀬橋から見える愛鷹山越しの富士山・・・それが僕にとっての沼津、

じゃあ・・・伊豆は・・・？

「伊豆を良くしよう」「伊豆をひとつに」「伊豆を活性化しよう」・・・そういうあなたの「伊豆」って、なんですか？

↑あ、誤解のないように・・・「あなたの」って、誰か特定の方のことを暗に言っているわけでは全くありません。コレ読んでいる方、すべての方に、もしできれば問いかけたかったのです。