ITは初期の哲学によく似ている・・・と思う・・・

kissy(岸本圭史)

2008年05月12日 12:40

ソクラテスやプラトンといった、西洋哲学の初期の時代、哲学は「すべての学問の上位にある」もので、「哲学こそが、人間の欲望や罪悪をどうコントロールし、いかに良い生き方・よい社会を作るか?」を解き明かし実現する指針となる、と考えられていました、ね・・・(哲学の専門家の方、間違ってたらゴメンナサイ、優しく突っ込んでください)

いえ、それがITと似ていると言いたいわけではないんです。

その当時、「世の中の人が全員、哲学的な生き方をしたら、世の中は黙っていてもよくなり、豊かに発展する」と信じられていました。有名な哲学者の数多くが、ハッキリそう言っている・・・(と、大学で学びました)

そこが、ITとよく似ているんですよね。

ITの専門家やインターネット・パソコン・IT経営などを推進・普及しようとしている人の多くは・・・もしかしたら全員かも?・・・「世の中の人すべてが、正しくITを理解し、正しくITを利用し、その恩恵を受けられれば、ITは社会をよりよくし、豊かに発展させることができる」・・・と信じて疑わないんですよ、ね。

もちろんKissyも、その意見には賛成です。けれども・・・

「だからITやインターネットは人類の発展に多大な貢献をする」なんて短絡的な話にはとても納得できるものではないし・・・
そもそも、それは「世の中の人すべてが」という前提があって、初めて成り立つ話だと思います。

お年寄りも子供も、障害者も健常者も、裕福な人も貧しい人も、すべて全員例外なく、インターネットで買い物ができて、インターネットで行政手続きを行うことができて、しかもそれを不正に使うことなく正しく使うことができれば・・・
それを完全にクリアできれば、そりゃ確かに世の中良くなるにきまっています。

けれど現実はそうならないことを、いろんな分野のいろんな事例が、歴史の中で実証しています。

だから、ITやインターネットの分野だけが、パーフェクトに活用されて機能し、それが人類に多大な貢献をするなんてことは、ありえないと思うんです。

もちろん、ちょっとだけ、ちびっとは、世の中が便利になったりするかもしれませんけれども、ね。
哲学が、ちょびっとだけ、人間社会の成熟に役立ったのと同じように・・・

追記:
「いやいや、インターネットやITの技術は、今現在すでに、人々の日々の生活の中で人知れず多大な貢献をしているよ。銀行のATMだってITの技術だし、いろいろな経済活動や、政治・医療・教育・福祉・・・いろいろなところで役に立っているじゃないか」
そう反論をしたい方・・・Kissyはそのことを否定は、全くしません。むしろその点には大いに賛成です。

けれども、
それは「ITが社会をよくした」わけじゃないですよね?
それを「だからITは人類に多大な貢献をする」とは言えませんね?

それは最終的には、「人がやったこと」です。ITは「利用された数多くの技術のなかのひとつ」に過ぎませんね。

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