ステージの上と下
ロックやJAZZ、ポップスなどのコンサート。ステージ上で聴こえている音は、観客席でお客さんが聴いている音とは全然別の音だ、ということをご存じでしょうか?
よくコンサートのステージ上に、ボーカルやギタリストの前に、斜め上を向いた箱のような(たいていは黒い)機材が床においてあるでしょう?あれ、「モニタスピーカー」と言って、演奏者向けの音を出しているスピーカーなんです。そこから出ている音は、観客席で聴いている音とは全く別物。場合によっては演奏者の演奏しているギターやベースの音しか出ていない、なんていうこともあります。
音だけでなく、照明の当たり具合や温度・湿度、空気の流れや見える景色・・・観客席とはほんの数メートルしか離れていないのに、同じ空間のように見えて全く違う世界・・・ステージの上は観客席で観ていると想像のつかない、全く違う世界が広がっています。Kissyは、アマチュアでしたが、ず~っとバンドをやっていて、ステージに上がるたびにそういう「観客席とステージ上の感覚の違い」を感じて、緊張しつつも刺激的な経験をさせてもらっていました。
で、そんな経験から学んだこと。
「見る側、楽しむ側」立場の人には「見せる側・楽しませる側」の事は絶対に分らない。その緊張感・プレッシャー・喜び悲しみ・うまくいかなかったときの無力感・うまくいったときの達成感・・・そういうものをすべて乗り越えるための力というかテンションというか、そういうモノ・・・
それは実際にステージに立ってみなければわからない事だ、と・・・。今でもそう思います。
そして良い演奏・良いステージを創り上げるために必要なモノは、観客席からは見えない・聴こえないところにある、ということも何度も痛感しました。演奏が完璧にできている、振り付けや照明などが予定通りひとつのミスもなくできた・・・それだけでは「良いステージだった」とは全く言えない世界・・・だからある意味、エンターテイメントの世界はとても怖いと思います。
つまり
「演奏」として完璧だったとしても、それは「良いステージを披露した」ことには全然ならない、という事。
観客席にいるだけでは絶対に分らない、「実際に演奏し、そのステージに立つことの大変さ」。けれどもそれをステージ上で「大変なんだよ」と言っては絶対にいけない・・・観客席のお客様はその苦労や努力を見に来てるわけじゃなくて、結果創り上げられた「ステージ」を期待しているんですよね。
「提供する側とそれを受け取る側・・・その間には想像しがたいほどの温度差がある」
このことは、バンド活動以外の場でも、日々、仕事にプライベートに、Kissyの考え方や行動に大きく影響している教訓です。
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